東京大学理学部生物情報科学学部教育特別プログラムを思い出す
(Only in Japanese)
いろいろなところで、いろんなお話をさせてもらったり、いろんな事務的な手続きをしないといけない機会があります(具体性のない文ですが)。その中で、たまに学位を取得した年月だけではなく、年月日の日付まで聞かれることがあります。最初に聞かれたときに全く覚えていなかったのですが、数回聞かれる機会があり、3月23日と答えられるようになりました。
ところが今回、「学位記のコピー」が必要ということになり、ちょっと困りました。あれどこいったかなー、と考えて実家に電話したら、ありがたいことに両親がしっかりと保管してくれていました。ポスドクで海外に出た際にいろんな荷物は実家に置かせてもらったので、その中にあるだろうという予想はしてはいましたが。
で、今後ももしかすると必要な場面が出てくるかもしれない、ということで、親に学位記を持ってきてもらいました。これでもう安心だ、と。学士、修士、博士の3つの学位記がちゃんとある、あーよかった。…と思ったら、全部で4個ある?あれ、前期課程修了証なんてあったかな?と思って開いて見たら、東京大学理学部生物情報科学学部教育特別プログラムの修了証だったのでした。誤解のないように明記すると、このプログラムを受けたことはしっかりと覚えています(忘れようにも忘れられない)。ただ、こんな立派な修了証をもらったことはすっかり忘れていました。でも西郷先生が「立派な修了証だろ!」と仰っていたような記憶が蘇ってきました。忘れててすみません…
今、東京大学理学部には、生物情報科学科があると思うのですが、私が学生だった頃にはありませんでした。そもそも生物情報という言葉自体を、あまり聞かなかったような気がします。もしかしたら、まだ言葉自体なかったのかもしれません。当時ヒトゲノムが解読されて、生命科学が扱う情報量が桁違いに増えていくことを誰もが感じていました。学生だった私でもそう思いました。そんな中で、当時学生だった私の目から見てわかり得た情報によれば、生物化学科の西郷先生が、「これからは生物情報科学の時代だ!」ということで、教育プログラムを立ち上げてくれたんだと思います(間違ってたら誰か教えてください)。東大の中だけではなく、理研とか各方面から関係する分野の方々をお呼びして講義をしてもらったと記憶しています。Neural network modelとか、熱力学とかもあった気もしますし、視覚情報を脳がどう処理しているかの数理モデルみたいのもあった気がします。RNAseqはまだなかったので、mappingはなかったのですが、alignmentはあって、BLASTが何をしているのか、というのを手動でやった記憶があります。当然今にもつながっていることが沢山あり、というか全部今につながっているので、とても役に立っていることに疑いの余地はないと思います。そういう意味では感謝しています。
が、ただもう、日程が本当に地獄で辛かった。言うなれば、学部まるまる1つ分の講義を通常の講義の時間外に追加で行う、ということで、本来夏休みは2ヶ月くらいあったと思うのですが、朝から夕方まで毎日講義がありました。夏休みを完全に潰して講義を受ける覚悟を決めた上で、プログラムを受講する必要がありました。私は当時大学3年生だったと思うのですが、翌年は卒業研究があるので、最後のまともな長期休暇であるあの夏休みにいろいろやろうと思っていたことがあったのです。でも生物情報科学を選んだのです。ただえらいもんで、私の同級生もかなりの割合で参加していたはずです。みんな本当に志高い学生でした。一緒に過ごせて光栄でした。そんなのに流されずに、受講しなかった同級生もまた立派だとも思いますが。
とか思い出しながら検索してみたら、本家の生物情報科学科がこのプログラムのことを書いてくれているんですね。しかも「平日の夜や夏休みに行う非常に厳しいカリキュラム」って書いてある!あれは本当に辛かったなあ… でも、今教授をされている黒田先生が、あのプログラムで非常に熱い想いを語ってくださったのがとても印象的だったことも、生物情報科学科のサイトを見ていて思い出されました。
でよく読んでみますと、「約70名の修了者が輩出されました」とのことで、私はあの一時的にだけ存在したプログラムの貴重な修了者の1人であることがわかりました。昭和64年のお金みたいな気持ちです。というわけで、どう扱っていいのかややこしいので、今までちゃんと履歴書に書いてこなかったこの特別プログラム修了ですが、これだけ立派な修了証を作ってくださった関係者のみなさまや出身学部、そして何より夏休みを潰してまでがんばった当時の自分に敬意を評して、これからはできるだけ記載していくようにしたいと思います。早速Researchmapに記載してみました。後から書き足していますが、決して経歴詐称ではありません。他の70人くらいの方々は、どのようにされているのでしょうか。折角だから修了したことを主張していきましょう!
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